はじめてのヨガクラスを、インド最南端ケララ州にある、シバナンダアシュラムで受けた私は、いよいよヨガの聖地、リシケシュに向かった。
リシケシュはインド北部、デリーから電車かバスで一晩くらいのところにある。
ケララからまずはデリー。なんと電車で53時間!!!
53時間って丸2日以上!!!そんな電車ある???
今も忘れない3月下旬の暑い、熱いインドを、冷房のない、サウナ状態の、人間の動物園みたいな2等寝台車で過ごした53時間。
LCCなんてない時代、国内線のチケット代で1ヶ月インドにいられるなら、そりゃ電車でがんばるでしょう。
もう2度としたくないけど。
とにかく、デリーから、さらにリケシュの玄関口、ハリドワールへ。
リシケシュに行けば、ヨガを教えてくれるところがある。
その情報だけをたよりに、乗り込んだ電車。
どんな街なのか、泊まるところはあるのか、果たしてヨガは習えるのか、、、。
期待というより、どっちかというと不安でいっぱいっぱいの私の前に、同じようにバックパックを背負った西洋人の女性が乗ってきた。
「こんにちは。どこまでいくの?」
頼む!リシケシュであってちょーだい!祈るように聞く私。
「リシケシュ」
やったー!!!
「私もなの!ヨガを習いに行きたいのだけれど、何も知らなくて」
そうすると彼女はリシケシュについて、リシケシュで学べるヨガについて色々教えてくれはじめた。
彼女は、もう何回かヨガを学びにインドに来ていて、ケララのシバナンダアシュラムも行ったことがあると言っていた。
「でもあそこは混むでしょ、だからシーズンオフにいくのが好きなんだよね。」
シーズンオフって、あの大変な雨期に?
なんかこの人、マニアな感じ。素敵。
インドに行くと、こういうラッキーというか、出来すぎの偶然みたいなことがよく起こって、私に、奇跡って本当にあるんだなあって思わせた。
まあ、インドにまで行かないと、さらには、こうして毎日生きてること自体が奇跡って気づかなかったわけなんですが。
勇気をだせば、何かが導いてくれると思ったか思わなかったか、電車はハリドワールに着き、朝もやの中、オートリキシャでリシケシュへ。
ゆっくりと歩む牛のむこうに、青銅色のガンジス河。
川沿いに立ち並ぶ色とりどりの寺院。
その後ろに、ヒマラヤまで続く優しい山並。
巡礼の人と牛に混ざって、レストランや土産物屋、雑貨屋にチャイ屋が立ち並ぶせまい道を歩き、私は彼女について、あるアシュラムに泊まることにした。
彼女は具体的に、どこに、どんなヨガクラスがあるのかを教えてくれ、次の日、自分はもっと川の上流の、静かなアシュラムに行くからと旅立って行った。
なんだか用意されてたみたいに、私のリケシュでの日々が始まった。