私がインドに呼ばれて、訪れたのは1997年、19歳の時。
英語もろくに話せないし、海外旅行にも行ったことがないのに、インドに一人で行きたいと言った時、父親が猛反対して、チケットを燃やすと言った。
どうしても20歳になる前にインドに行きたいのだと言う私に、ツアーならいいと言った。
ツアーじゃだめなの。ツアーじゃないの。自分の力で行ってみたいの!
あかん。
じゃあ、誰かとだったらいい?
、、、。
(当時仲のよかった)Jちゃんが一緒に行くって、じゃあいい?
、、、、、そんなに行きたいなら、、、、、。
父自身、旅行が大好きで、自分の子どもが大人になるまでに、日本八州をみせてやりたいと、ツアーではあったが、毎年夏休みには2泊、3泊の旅行に連れていってくれた。
彼もやはり20歳くらいのとき、原チャで北海道まで行ったらしい。
きっと、自分の過去と、何かがかぶったのであろう。
とにかく両親の了解を得、会社に10日間の有休を申請し(私は高校斡旋の就職で、すでにOLだった)、私はJちゃんと大阪のオフィス街にある、地球の歩き方に広告が載っていた、格安チケットを扱っている旅行会社に行った。
ビルの何階かにあった、小さなオフィスの、しょぼいドアを開けると、眼鏡をかけた白髪まじりのおじさんが何しに来たの?って目で私達を見た。
「あのお、インドまでの飛行機の切符とりたいんですけど、、、」
「インド?自分ら海外行ったことあんの?」
「ないです」
「英語しゃべれんの?」
「全然」
「、、、まあ座り」
彼は親切丁寧にインドは甘くないということを、説明してくれた。
「それでも行きたいの?」
「行きたいです」
当時まだ猿岩石もでてきてなかったし、沢木耕太郎の深夜特急も知らなかった。
「僕も昔インド行ったけど、南インドなんか道路舗装されてなくてな。道がったがったやで。そんな道を運転手がマリファナふかしながら運転しよんねん、死ぬかと思たわ、はっはっはー」
結果、おじさんは私達にデリーまでの往復券と、デリーの1泊目だけのホテルを予約してくれた。
彼は空港に着いたら、
1、両替して(お札はカウンターの目の前で数える)
2、プリペイドタクシーでホテルの住所を見せ、お金を払い、誰にも捕まらず、わきめもふらず、タクシーに乗る。
3、ホテルは空港から車で30分もあれば着くところにある。もし、30分過ぎても到着しない場合は、やばいと思え。
と、教えてくれた。
で、30分過ぎてもホテルに着かない場合、どうすればいいのかは教えてくれなかった。
そして私達の乗ったプリペイドタクシーは見事、30分過ぎても、1時間過ぎても、ホテルに着かなかったのでした。